リン酸マグネシウムセメントによる低レベル放射性廃液固化の研究

チーム紹介

 2011年3月以前、原子力は日本にとって重要なエネルギーとして注目されていました。それは、日本がエネルギー資源に乏しい国であり、エネルギー資源の自国産出とエネルギー創出が困難であることに起因します。そのため、使い終わった核燃料を再処理することで再び燃料利用することができる原子力発電は、日本のエネルギー事情に関する問題を解消するための一つの手段として注目されてきました。しかし、再処理は単に使えないものを使えるようにする”変換”技術ではなく、ゴミの中から使えるものを”取り出す”技術であるため、取り出した後の残った要らない部分がゴミとして発生します。本研究班では、発生したゴミの中でも放射能レベルの低い液体状のゴミ(低レベル放射性廃液)を対象とした固化処理技術の研究開発を行っています。

研究内容

リン酸マグネシウムセメントによる固化

 現在、低レベル放射性廃液の固化には日常的に工業利用されるセメントを使用することが検討されています。本研究ではリン酸廃液を対象としており、この廃液を工業セメントによって固化しようとすると、廃液に含まれる一部成分がセメントの硬化を阻害して固化した廃棄体の体積が大きくなってしまいます。廃棄体の体積膨張は処理処分にとってマイナスでしかない(保管用地の確保等の観点から減容しなければならない)ため、この欠点を解消するための対策が必要となっています。そこで本研究では、工業セメントの効果を阻害する成分を主骨格とする『リン酸マグネシウムセメント』に着目して研究を行っています。リン酸マグネシウムセメントの利点は、先述の通り他のセメントの硬化を妨げる成分を主骨格とするため廃棄体の体積膨張が起きることがないという点にあります。しかし、このセメントを練る際、硬化するまでの反応が著しく早く、混錬が困難であるという欠点も抱えています。写真は、リン酸マグネシウムセメントの外観になります。実験スケールでの実験で、直径5cm高さ7cm程度の円柱に固化しており、通常のセメントでよく見られるような灰緑色ではなく純白に近い色が出るセメントです。本研究ではこの欠点と、その他に発生するマイナスとなる性能等を改善することを主目的に、混錬の条件を変化させて試験を行い、リン酸マグネシウムセメントの廃液適用に向けた基礎研究を行っています。